銀も金も玉も何せむに勝れる宝子に如かめやも
和歌原文
銀も金も玉も何せむに勝れる宝子に如かめやも
しろがねもくがねもたまもなにせむにまされるたからこにしかめやも
現代語訳
銀も金も宝石もどうして子供という宝に勝るものがありましょうか。
いやそんなものはない。
文法
鑑賞のポイント
前回ブログで紹介した「瓜食めば・・・」の長歌に対しての反歌となります。反歌とは、長歌の最後に添える短歌で、その要約の様な役割を果たします。『万葉集』では「子等を思ふ歌一首幷(ならび)に序」ということで一つの塊として掲載されています。
この歌は有名な歌なので、習ったことがある方も多いのではないでしょうか。意味は詠んで字の如く「世の中の色々な宝物に及ばない宝物・・・それは子供だ!」ということですね。一見するとそりゃそうだ。ということですが、これだけストレートに子供が宝と表現できるか。と考えると、やはり後世に残る短歌ですね。「子供は大切だ」という思いを抱いていても、それを文字に表現することには一種の恥ずかしさがありませんでしょうか。しかし憶良は「世の中の宝と比較しても、子供に勝るものはない」と表現してしまう。このストレートに思いを歌にしたことが心を打つのですね。また、その前の長歌で日常での子供への思いを具体的に詠んでいる為、反歌では少し抽象的にまとめています。「色々食べている時も子供を思うし、寝る時も子供がちらつく。もう子供は世の中のどんな宝も及ばない宝だよ!こんちくしょう!」て感じですね。
目の前にあると宝であることを気づけないものですが、この短歌を詠んで、あらためて自分の子供たちが宝であることを実感しましょう。
心に短歌を!
ここまで読んでいたあき、ありがとうございます!