秋の夜の月にむかひて祈るかな國の光のまさりゆく世を
和歌原文
秋の夜の 月にむかひて いのるかな 國の光の まさりゆく世を
あきのよの つきにむかひて いのるかな くにのひかりの ましりゆくよを
明治天皇御製 明治三十八年
現代語訳
秋の夜の月に向かって祈るのだなあ。
この月の光のように、国の光が隅々まで
行き渡る世の中を。
・秋の夜の月
秋は十五夜の月でもあり、
昔から月がきれいな季節と
言われています。
・かな
か―な。終助詞。
「~だなあ」
・まさりゆく
まさり(増さり)-ゆく(行く)。
「どんどんそうなっていく。」
鑑賞のポイント
明治天皇は非常にたくさんの短歌を詠まれました。
(天皇・皇族の歌は「御製(ぎょせい)」といいます。)
その数なんと九万三千首 余り!
九万三千首よもうとすると・・・
一日一首→年間三百六十首→二百五十八年!
一日十首→年間三千六百首→二十六年!
心動けばすぐ歌にする習慣がないと決してできないことですね。
素晴らしい歌の多い明治天皇の御製の中から、
現在靖国神社の拝殿の横に掲示されていた歌をとりあげました。
この歌がよまれた
明治三十八年(1905年)は日露戦争の年であります。
1月 旅順陥落
9月5日 ポーツマス条約締結(日露講和条約を結ぶ)
同日 日比谷焼き討ち事件
この歌が秋の夜の月について歌っているので、
日露戦争が終わったころに歌われたのでは
と推測されます。
天皇とは「祈る」ことを役割としている御存在です。
では何を祈るのか・・・
国民・国家の発展を祈っているのです。
この歌はまさにそのような天皇の御姿が目に浮かぶ御製ですね。
まさに「秋」真っ盛りの今!
世界が物騒になってきている中で・・・
国の行く末を考えずにはいられませんね。
秋の夜の月に向かひて・・・
あなたは何を祈りますか?
今日部屋を暗くし、
月を見て、
手と手を合わせ、
何か祈ってみましょう!!
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
心に和歌を!