たのしみは まれに魚煮て 兒等皆が うましうましと いひて食ふ時
和歌原文
たのしみは まれにうおにて こらみなが うましうましと いひてくふとき
楽しみは まれに魚煮て 兒等皆が うましうましと いひて食ふ時
橘 曙覧(たちばなの あけみ)
独楽吟(どくらくぎん)より
現代語訳
たのしみは たまに煮魚をして、子どもたちが「おいしい おいしい」と言って食べる時。
鑑賞のポイント
『独楽吟』とは?
和歌7に続いて、橘曙覧です!
前回は悲しい歌でしたが、今回は幸せさが伝わってくる歌ですね。長女・次女・三女と早くに亡くした曙覧でしたが、長男・次男はすくすくと成長し、貧乏ながらも幸せな生活を送っておりました。
曙覧は家業を弟に譲り、学問に没頭していた為・・・貧乏でした。しかし!
お金がなくとも、幸せな生活。をありのままよみました。
それが、『独楽吟(どくらくぎん)』
すべての歌が「たのしみは~」ではじまる52首の歌です。
「たのしみは」と出だしでこられたら、楽しい気持ちになるしかない!そんな歌がたくさんあります。
等身大で和歌は大丈夫
さて、今回の歌にもどって。
皆さん、こう思いませんか?
「和歌ってこれでいいんだ!?」と。
貴族の人が、きれい や さみしい を歌に託したり。1つの言葉で2つの意味を持たせたり。というような印象がありますが、ストレートに伝わるのが一番です。
この歌は、あえて訳をする必要がないほど、分かりやすいです。
そして、その情景も目に浮かびます。
そしてそして、食事の描写から、曙覧とその家族の幸せな生活全てが伝わります。
現代だったらどうなんだろう・・・
「たのしみは まれにまわりし 寿司食ひて コーンコーン といひてくふとき」
「たのしみは まれに炭火で 火を起こし 外が一番 といひてくふとき」とかかな。
みなさんの「たのしみは~」を毎日見つけましょう!
心に和歌を!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
参考文献『名歌でたどる日本の心』国民文化研究会・小柳陽太郎 編著