古畑のそばの立つ木にゐる鳩の友呼ぶ声のすごき夕暮れ
和歌原文
ふるはたの そばのたつきに ゐるはとの ともよぶこゑの すごきゆうぐれ
古畑のそばの立つ木にゐる鳩の友呼ぶ声のすごき夕暮れ
現代語訳
荒れ果てた畑の、崖の高い木にとまっている、鳩が仲間たちを呼ぶ鳴き声の、ひどく寂しい夕暮れのことよ。
文法
鑑賞のポイント
全体的に非常に寂しい印象を受ける歌ですね。「古畑」「そば」「すごき」「夕暮れ」と寂しい単語が続きます。
また、「鳩の声」もあらためて聴いてみると、寂しい気持ちに拍車がかかります。
鳩の声(YouTubeより)
↓
https://www.youtube.com/watch?v=Y3dd3f9Dn74
前回のブログでも書きましたが西行は、あらゆる場所に草庵を作りながら旅をした僧侶であり歌人でした。つまり生活は基本一人。寂しい気持ちがこみ上げてくる時があったのでしょう。
季節は秋~冬頃だろうか。荒れ果てた畑。崖となっているところに立つ高い木。あたりは薄暗くなってきた夕暮れ時。その荒涼とした風景から聞こえる鳩の鳴き声。
あたりは静かで、ただこの鳩の鳴き声だけが聞こえてくる。
その空間に西行一人がたたずんでいる。寂しさが伝わってきます。
また「ともよぶ声」から、友のある鳩をうらやましく思う気持ち。もしくは、自分の心を鳩に託して友を呼びたい気持ち。が伝わってくるようです。
いい短歌は、感動の深さが大切です。
感動という単語が網羅する感覚はとても幅広いですね。
この「寂しさ」も心に迫るものがあります。
瞬発的な感動ではなく、心にじわりと迫るようなそんな感覚になります。
うれしい、楽しい、悲しい、哀しい、寂しい、侘しい・・・
毎日どれだけ深い感動ができたか。
そのことを確認する為にも、短歌を詠んでみてはいかがでしょうか?
心に和歌を!
最後までお読み頂き、ありがとうございます。