おいどんブログ

和歌・短歌を紹介します!

2020-01-01から1年間の記事一覧

さびしさに 堪へたる人の またもあれな 庵ならべむ 冬の山里

【短歌原文】 さびしさに 堪へたる人の またもあれな 庵ならべむ 冬の山里 さびしさに たへたるひとの またもあれな いほりならべむ ふゆのやまざと また:他に あれな:いてほしい 西行 『新古今和歌集』627 【現代語訳】 さびしさに堪えている人が他にもい…

遊ぶべき 時もわすれて 夜昼と 勤めつくせば 楽しかるらん

二宮尊徳(金次郎)の道歌より。

秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかねぬる

短歌原文 秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかねぬる あききぬと めにはさやかに みえねども かぜのおとにぞ おどろかねぬる 藤原敏行朝臣(平安時代前期の貴族) 古今和歌集 巻四 来ぬ:来た 「ぬ」は完了の助動詞 さやかに:はっきり…

ひぐらしは 時となけども 恋ふるにし 手弱女(たわやめ)我は 時わかず泣く

短歌原文 ひぐらしは 時となけども 恋ふるにし 手弱女我は 時わかず泣く ひぐらしは ときとなけども こふるにし たわやめわれは ときわかずなく 『万葉集』 巻十 一九八二 夏相聞 よみ人しらず ・ひぐらし:蝉の一種。夏の夕暮れに鳴く。 ・恋ふるにし:片恋…

ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば ただ有明の 月ぞ残れる

短歌原文 ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば ただ有明の 月ぞ残れる ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる 後徳大寺左大臣 小倉百人一首 有明の月→朝、夜明け時に残る月。 短歌の意味 朝、夜明け時に、ほととぎすが鳴いた方…

夏の夜の 夢路はかなき 後の名を 雲井にあげよ やまほととぎす

短歌原文 夏の夜の 夢路はかなき 後の名を 雲井にあげよ やまほととぎす なつのよの ゆめじはかなき のちのなを くもゐにあげよ やまほととぎす 柴田勝家 辞世の句 夢路:夢に見ること。夢の中でたどる道。 雲井:雲のあるところ。空。遠く離れたところ。 現…

春すぎて 夏きたるらし 白たへの 衣ほしたり 天の香具山

短歌原文 春すぎて 夏きたるらし 白たへの 衣ほしたり 天の香具山 はるすぎて なつきたるらし しろたへの ころもほしたり あまのかぐやま らし:~のようだ 推定の助動詞 白たへ(白妙):真っ白な布。「衣」に掛かる。 ほしたり:乾したり・干したり 天の香…

おほかたに さみだるるとや 思ふらむ 君恋ひわたる 今日のながめを

短歌原文 おほかたに さみだるるとや 思ふらむ 君恋ひわたる 今日のながめを おほかたに さみだるるとや おもふらむ きみこひわたる きょうのながめを おほかたに(大方に):大体、一般的に、ふつう さみだる(五月雨):梅雨の長雨。 らむ:推量 ~だろう …

この世をば 我が世とぞ 思ふ望月の 欠けたることも なしと思へば

短歌原文 この世をば 我が世とぞ 思ふ望月の 欠けたることも なしと思へば このよをば わがよとぞおもふ もちづきの かけたることも なしとおもへば 藤原道真 をば:「を」が受ける言葉を強調。この短歌では「この世」を強調。 ぞ:強調の意。 望月:満月 現…

おもしろき こともなき世を(に) おもしろく すみなすものは 心なりけり

短歌原文 おもしろき こともなき世を(に) おもしろく すみなすものは 心なりけり 高杉晋作+野村望東尼(のむら もとに) すみなす(住み成す):自分の思うように住む なりけり:気づきの意味。「~なこどだなあ」 こともなき世「を」「に」の2つの説があ…

親思ふ こころにまさる親心 けふの音づれ 何ときくらむ

短歌原文 親思ふ こころにまさる親心 けふの音づれ 何ときくらむ おやおもふ こころにまさる おやごころ けふのおとづれ なんときくらむ 吉田松陰 江戸獄中より故郷に送った手紙「永訣の書」より けふ(きょう):今日 音づれ:手紙での知らせ らむ:今ごろ…

真砂なす 数なき星の 其の中に 吾に向かひて 光る星あり

短歌原文 真砂なす 数なき星の 其の中に 吾に向かひて 光る星あり まさごなす かずなきほしの そのなかに われにむかひて ひかるほしあり 正岡子規 『竹の里歌』連歌十首のうちの一首 真砂(まさご):細かい砂 なす(成す):状態。作る 数なき:数なし→数…

足たたば 北インジアの ヒマラヤの エヴェレストなる 雪くはましを

短歌原文 足たたば 北インジアの ヒマラヤの エヴェレストなる雪くはましを あしたたば きたインジアの ヒマラヤの エヴェレストなる ゆきくはましを 正岡子規 まし:もし~だったら~だろう(反実仮想) を:~のになあ(詠嘆) 現代語訳 もし立つことがで…

東風吹かば にほひ起こせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ(春を忘るな)

短歌原文 東風吹かば にほひ起こせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ(春を忘るな) こちふかば にほひおこせよ うめのはな あるじなしとて はるなわすれそ(はるなわするな) 菅原道真 東風(こち):東から吹く春の風 あるじ:主 な~そ:禁止 ~するな…

此の春は 花うぐひすも 捨てにけり わがなす業ぞ 国民のこと

短歌原文 此の春は 花うぐひすも 捨てにけり わがなす業ぞ 国民のこと このはるは はなうぐひすも すてにけり わがなすことぞ くにたみのこと 孝明天皇 現代語訳 この春は、春もうぐいすも捨てた。私がすることはただ国民の為にすることだけだ。 多難な時代…

天がした 人といふ人 こころあはせ よろづのことに おもふどちなれ

短歌原文 天がした 人といふ人 こころあはせ よろづのことに おもふどちなれ あめがした ひとといふひと こころあはせ よろづのことに おもふどちなれ 孝明天皇 短歌の現代語訳 この時代に生きる人々みんな、心を一つに合わせた仲間であってほしい 天がした→…

ふるさとに 今夜ばかりの いのちとも 知らでや人の われをまつらむ

短歌原文 ふるさとに 今夜(こよひ)ばかりの いのちとも 知らでや人の われをまつらむ 菊池武時 現代語訳 ふるさとでは、私の命が今宵までとは知らないで、私の帰りを待っているであろう。 短歌を味わう この短歌は、菊池武時(きくちたけとき)という肥後…

ときはいま あめがしたしる さつきかな

連歌原文 ときはいま あめがしたしる さつきかな 明智光秀 愛宕百韻(愛宕山連歌会)にて 現代語訳 今は雨がずっと降っている五月だなあ。 「本能寺の変」の決意を詠った歌!? NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で今話題の明智光秀。といえば、本能寺の変は切っ…

父ならぬ父を父とも頼みつつありけるものをあはれ吾が子や

短歌原文 父ならむ 父を父とも 頼みつつ ありけるものを あはれ吾が子や 伴林光平(ともばやし みつひら) 現代語訳 父らしいことを何もしてやれなかったこの私を、父と頼んでいた我が子の なんてあわれなことよ。 伴林光平とはどんな人? ①「天誅組の変(大…